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ポータブル電源のPSEマークは義務ではない?対象・対象外の境界とSマークの見方【2026年版】

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中村 健太 | アウトドア歴8年・防災士
ポータブル電源のPSEマークは義務ではない?対象・対象外の境界とSマークの見方【2026年版】

AC100Vを出力できるポータブル電源の本体は、電気用品安全法(PSE)の規制対象外です。 経済産業省は「交流100Vも出力できるいわゆるポータブル電源は蓄電池に該当しないため、モバイルバッテリーとして扱わず、非対象」と明示しています。つまり「PSEマークがないから違法・危険」とは限らず、逆に「PSEマークがあるから本体が国の検査を通っている」わけでもありません。

PSEマークとは、電気用品安全法の基準を満たしたことを示す表示で、危険度の高い「特定電気用品」には菱形(◇PSE)、それ以外の電気用品には丸形(○PSE)が付きます。

対象PSE規制マークの種類
ポータブル電源 本体(AC100V出力)対象外表示義務なし
モバイルバッテリー(リチウムイオン蓄電池)対象(2018年2月〜)丸形(○PSE)
付属のACアダプター・充電器対象製品区分により菱形または丸形
ポータブル電源用ソーラーパネル対象外(発電機器)表示義務なし

なぜポータブル電源本体は対象外なのか

電気用品安全法が規制する「リチウムイオン蓄電池」は、単電池1個あたりの体積エネルギー密度が400Wh/L以上のものを指します。モバイルバッテリーは2018年2月1日にこの区分へ追加され、1年の猶予期間を経て2019年2月1日から表示が義務化されました。

一方、蓄電池の出力は原理上「直流」に限られます。AC100V(交流)を出力できるポータブル電源はインバーターを内蔵した複合機器であり、法令上の「蓄電池」そのものには当たりません。この解釈により、ポータブル電源本体は現行法の規制対象から外れています。

つまりこういうことです

  • 対象外なので、PSEマークがない製品でも販売は違法ではない
  • 逆に、本体に何らかのPSE表示があっても、それは同梱ACアダプターの認証であることが多い
  • PSEマークの有無だけでは、本体の安全性は判断できない

「PSEマーク取得済み」を強調する販売ページは少なくありませんが、その表示が本体・付属品のどちらを指すのかは明記されないケースがあります。安全性の判断材料としては不十分だという前提で読む必要があります。


丸形(○PSE)と菱形(◇PSE)の違い

項目菱形 ◇PSE丸形 ○PSE
区分特定電気用品特定電気用品以外の電気用品
リスク構造・使用方法から危険・障害の発生が多いものそれ以外
検査登録検査機関(第三者)による適合性検査が必須事業者による自主検査
該当例一部のACアダプター・直流電源装置などモバイルバッテリー、テレビ、冷蔵庫など

菱形のほうが要求水準が高いと理解しておけば実用上は十分です。第三者機関のチェックが入るかどうかが最大の差になります。

モバイルバッテリーは丸形(○PSE)です。事業者が技術基準への適合を確認し、定格電圧・外観の全数検査を行い、その記録を3年間保存する義務を負います。


では何を見て安全性を判断するのか

規制対象外である以上、PSEマークは判断軸になりません。代わりに次の4点を確認してください。

1. Sマーク(第三者認証)

電気製品認証協議会(SCEA)は、経済産業省が2024年3月に公開した「ポータブル電源の安全性要求事項(中間とりまとめ)」をSマークの追加基準として採用し、2024年6月3日から運用を開始しました。

つまり現在、ポータブル電源において第三者認証を受けたことを示す最も明確なシグナルはSマークです。PSEマークではありません。

この安全性要求事項は JIS C 62368-1 を基礎に、米国のポータブル電源規格 UL 2743 や電気用品の技術基準解釈別表第八の試験方法を取り込んで策定されています。

2. 電池の種類(LFP か 三元系か)

リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)は、熱暴走の開始温度が三元系より高く、構造的に発火リスクが低いとされています。安全性を重視するならLFP搭載モデルが基準になります。詳細はLFP電池と三元系の安全性比較で解説しています。

3. BMS(保護機能)の項目数

過充電・過放電・過電流・短絡・高温・低温・セルバランスの7項目をカバーしているかを確認します。仕様表に「BMS搭載」とだけ書かれ、内訳が非公開の製品は評価を下げるべきです。

4. 国内サポート体制

事故や不具合が起きたときに、日本語で連絡でき、国内で修理・交換が受けられるかどうかは、認証の有無と同等に重要です。日本メーカーおよび日本法人を持つ主要海外メーカーが有利になります。


業界と行政の動き(2024年以降)

ポータブル電源は災害備蓄やアウトドア用途で普及が進む一方、使用による事故(いずれも火災)が増加傾向にあります。これを受けて次の動きが進んでいます。

時期動き
2023年度経済産業省が官民参加型の検討会を立ち上げ
2024年2月「ポータブル電源の安全性要求事項(中間とりまとめ)」を策定
2024年3月経済産業省ホームページで公開
2024年6月SCEAがSマーク追加基準として運用開始
2024年11月一般社団法人 日本ポータブル電源協会 設立

規制対象化そのものは2026年8月時点で決定していませんが、業界標準としての安全要求は既に整備済みという状態です。購入時は「法規制を通っているか」ではなく「この要求事項に沿った認証を受けているか」を見るのが実態に即しています。

事故情報は製品評価技術基盤機構(NITE)や消費者庁の事故情報データバンクで公開されており、購入検討中の型番を検索して事故報告の有無を確認することもできます。


よくある誤解の整理

誤解実際
PSEマークがない製品は違法ポータブル電源本体は対象外のため違法ではない
PSEマークがあれば本体が国の検査済み多くは付属ACアダプターの認証。本体の検査ではない
菱形PSEのほうが高性能性能ではなく「危険度が高い区分」を意味する
大容量ほど規制が厳しい容量による規制の区分はない
海外製は認証が甘い認証の有無はメーカー国籍ではなく個別製品による

実際の選び方に落とし込む

安全性を軸にポータブル電源を選ぶ場合、確認する順序は次のとおりです。

  1. Sマークまたは同等の第三者認証があるか
  2. 電池がLFPか(三元系なら保護機能をより厳しく見る)
  3. BMSの保護項目が具体的に開示されているか
  4. 国内に修理・サポート拠点があるか
  5. 付属ACアダプターにPSE表示があるか(最低限の確認)

PSEマークは5番目、つまり「あって当然の最低ライン」です。1〜4を満たす製品を選ぶことが、実質的な安全対策になります。

具体的な機種の比較はポータブル電源の安全性ランキング、国内メーカーに絞った比較は日本製・国内メーカーおすすめ3選で解説しています。


よくある質問

Q. ポータブル電源にPSEマークは必要ですか?

A. 本体には法的な表示義務がありません。AC100Vを出力できるポータブル電源は電気用品安全法上の「蓄電池」に該当しないため、規制対象外とされています。ただし付属のACアダプターや充電器は電気用品として対象になります。

Q. PSEマークがない製品は危険ですか?

A. マークの有無と安全性は直結しません。対象外の製品カテゴリだからです。安全性を判断するなら、Sマークの有無、電池の種類(LFPか三元系か)、BMSの保護項目、国内サポート体制を確認してください。

Q. 丸形PSEと菱形PSEの違いは?

A. 菱形は「特定電気用品」に付き、登録検査機関による第三者の適合性検査が必須です。丸形は「特定電気用品以外の電気用品」に付き、事業者の自主検査で足ります。菱形のほうが要求水準は高くなります。

Q. モバイルバッテリーとポータブル電源で扱いが違うのはなぜ?

A. モバイルバッテリーは直流出力の蓄電池そのものであるため規制対象(2018年2月〜、丸形PSE)です。ポータブル電源はインバーターで交流100Vを出力する複合機器であり、法令上の蓄電池に当たらないため対象外とされています。

Q. Sマークとは何ですか?

A. 電気製品認証協議会(SCEA)による第三者認証マークです。2024年6月から、経済産業省の「ポータブル電源の安全性要求事項(中間とりまとめ)」が追加基準として採用されており、現状ポータブル電源で最も明確な安全性のシグナルになります。

Q. ポータブル電源は今後PSE規制の対象になりますか?

A. 2026年8月時点で規制対象化は決定していません。ただし経済産業省が安全性要求事項をまとめ、業界団体(日本ポータブル電源協会)も2024年11月に設立されており、安全基準の整備は進んでいます。

Q. 中古やフリマで買ったポータブル電源はどう確認すればいい?

A. 型番でメーカー公式サイトの仕様と認証情報を照合し、NITEの事故情報データバンクでリコールや事故報告がないかを確認してください。バッテリーは経年で劣化するため、製造年と充放電回数の目安も併せて確認することをおすすめします。


参考データと更新履歴

本記事で参照した一次情報源

更新履歴

区分日付
初回公開2026-07-30

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